猫も要注意!犬猫フィラリアの予防時期と薬の種類 ペット

猫も要注意!犬猫フィラリアの予防時期と薬の種類

2017.03.27 tomoni編集部

犬を飼っている人は蚊が出始めると「フィラリア」が気になる方も多いと思います。実は、フィラリアは猫もかかる病気だそう。犬に比べて症状がわかりにくく気づいた時には重症なんてことも…。

 

そこで、今回は獣医師の山田先生に、犬と猫のフィラリアの症状や予防の方法、時期について伺いしました。

 

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亀戸動物総合病院 院長

獣医師 山田 武喜先生

1984年 日本大学農獣医学部獣医学修士終了。 1986年 東京都墨田区に亀戸動物病院を開院。 東京医科歯科大学で生体工学 生体材料 再生医療を研究。 2000年 博士号(学術)取得。

 

 

目次

フィラリア症の初期はわかりにくい

蚊を媒介して寄生する「フィラリア」。かかると危険な病気なのは知っている人も多いと思います。では、実際にかかってしまうとどんな症状がでるのでしょう?

 

「フィラリアに感染しても初期はあまり症状がでないんですよ。虫が少ないうちはほとんど症状はない。虫が多くなったり、期間が長くなるとだんだん症状がでてきます。
・咳がでる
・人間でいうと動悸のような呼吸が苦しくなる
・元気がなくなったり、運動したくなくなる
といったのが最初の症状。もっとひどくなってくるとお腹が膨れる腹水だったり、血尿(血色素尿症)がでたりします。上記の症状がでた場合は風邪や他の原因があるかもしれませんが、フィラリアの場合はある程度症状が進行している状態なので、早めに病院へ連れて行って検査した方がいいでしょう」

 

猫や小型犬はフィラリアにとくに注意が必要

猫や小型犬はフィラリアに特に注意が必要

 

フィラリアというと犬の病気のイメージもありますが、稀に猫がフィラリアにかかることがあるとか。猫も予防が必要なのでしょうか。

 

「昔は犬フィラリアと言って、もともと犬の病気でした。猫でも数は少ないですがフィラリアになることがあります。猫はかかった場合に重症化するのでとても注意が必要です。犬は心臓や循環器系の症状で、猫は肺の症状と言われています。呼吸が苦しくなるのですが、症状がわかりにくいため、気づいた時には手遅れで突然死してしまう例もあります。また、猫は治療する方法がほぼないので死亡率が高い。都会で家の中で飼っている猫は、ほとんどかかる可能性はないと思いますが、フィラリアがいるような地域や環境(蚊が多い、あるいはフィラリアにかかった犬猫がいる)では、予防をおすすめします」

 

猫の治療法がほぼない! 犬と猫だとそんなに違うのでしょうか。

 

「フィラリアの虫は大きくなると30㎝くらいになるんですね。猫でも犬でも虫のサイズは同じ。猫の場合は臓器自体も非常に小さいし、血管もすごく細いんですよ。そこに30㎝の虫が1匹入るわけだから、それだけで重体になってしまいます。犬は治療法がいくつかあるけれど、小型犬だと、少ない虫の数で症状が悪化してしまう場合が多いです。その場合の治療も、フィラリアを殺してしまうと逆に血管に詰まってしまうので、取り除かないといけない。前述の猫と同じように小型犬は、中型犬や大型犬に比べて小さな心臓だったり、細い血管のために手術が難しくなります。もちろんサイズに関わらず予防はすべきなのですが、とくに気を付けてあげてほしいですね」

 

フィラリア予防は性格やライフスタイルに合わせて選ぶ

フィラリア予防は性格やライフスタイルに合わせる

 

「フィラリア予防は狂犬病や混合ワクチンなどの予防とは方法や考え方がまったく異なります。これらは免疫を作らせて病気にならないようにするもの。フィラリアはウイルスではなく虫なので、感染はするけど大きくなる前に駆虫してしまいます。それの繰り返しです。ワクチンのように事前にかからないように免疫を作ることが今のところはできないのです」

 

フィラリアの予防は以下の方法があるそう。

 

○飲み薬

メリット:飲み続けている間は予防ができる

デメリット:忘れてしまうと感染してしまう可能性がある、飲み薬が苦手な犬猫には不向き

 

○皮膚につける薬

メリット:塗り続けている間は予防ができる

デメリット:忘れてしまうと感染してしまう可能性がある、皮膚が弱いと荒れてしまう

 

○注射

メリット:1回で約1年の予防効果がある

デメリット:副作用がでる場合がある

 

予防法はそれぞれメリット、デメリットがあるので、犬の性格や飼い主の生活スタイルや性格に合わせて、選ぶのがいいとのこと。病院によってもおすすめの予防法が違うと思うのでよく相談した方がよさそうですね。

 

「今は飲み薬が主流なので、薬が平気な犬猫や、飼い主さんが忘れないタイプなら、飲み薬がいいと思います。注射は副作用で死亡例も出ているので、使いにくいので当院ではあまり行っていません。ただ、注射は年に1回なので、忘れにくいですよね。どれが一番とは一概に言えませんので、ケースバイケースで合う方法を選ぶのがいいと思います。獣医と予防について相談する時のポイントは、飼い主さんのことも伝えること。犬のことは我々もわかりますが、飼い主さんのことはなかなかわかりませんからね(笑)。性格やライフスタイルを自己申告してくれるとアドバイスしやすくなると思いますよ 」

 

犬も猫も予防法は同じなのでしょうか。

 

「猫も基本的に同じですが注射はいまのところないですね。予防を迷っている場合は、まず多発地域かどうか確認しましょう。近くの獣医さんに『この辺の地域はどうですか』と聞けば『この間は猫でもかかったよ』など教えてくれると思います。最近は、フィラリアの薬はノミ・ダニ・お腹の虫(寄生虫)の予防もできるようなものもでているんですね。フィラリアだけで予防するのはちょっと…という方でしたら、複合の予防薬を服用しておけば安心かな。犬の場合も散歩中に道に落ちている物を食べてしまうとお腹に虫が寄生することがあるので、複合薬を飲むとまとめて予防できます」

 

フィラリア予防薬の投与時期

現在主流となっている飲み薬には、投与方法が2種類あるそう。

 

○期間投与

蚊がいる時期は、関東だとだいたい5月~11月のため、予防は5月から12月くらいまで行います。フィラリアの薬は1ヵ月前にさかのぼって駆虫するので、蚊がいなくなってから1ヵ月後が終了の目安となります。

 

○通年投与

沖縄や九州の一部などは1年中蚊が見られる地域もあるので、1年通して予防を行います。また、外国では通年投与が一般的だそう。なぜかというと、ひとつは1年中蚊がいる可能性がある地域があること。もうひとつはフィラリアの薬の多くが、ノミ・ダニ・お腹の虫の予防もかねているため他の予防と兼ねて投与しているためです。

 

「関東であれば期間投与の方は、4月頃に病院からフィラリア予防の通知がいくと思います。感染していないか確かめるため血液検査をしてから予防を始めます。特に多いのは11月、12月の投与を忘れてしまって感染してしまうパターン。なので、1年通して予防しておく方が忘れにくいし、安心ということもあるかもしれませんね。そういう方法もあります」

 

フィラリア予防の時期は早めの予約を!

期間投与の場合、同じ地域の人は一斉にお知らせが来るので動物病院は混雑しがち。犬猫が慣れない場所で長時間待つのはストレスにもなりそうですし、飼い主さんも大変。そうなる前に早めの予約をしておいた方が安心です。

 

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そして、急な症状の時は、すぐに対応してほしいもの。そんな時はEPARKペットライフの「空満検索」。今日明日行ける病院を調べることができます。

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7歳以降は健康診断をこまめに受けて

7歳以降は健康診断をこまめに受けて

 

フィラリア対策に大切なことは「予防」ということがよくわかりました。さらに、普段から他の病気の予防もかねて「健康診断」がとても大事というお話も聞かせてくださいました。

 

「フィラリア予防やワクチンで定期的に病院に行っている場合は、簡単に健診してもらうことがあると思います。若いうちはそれだけでもいいと思います。犬の場合、7歳くらいになると中年になってきます。そのあたりからは毎年健康診断を行ってあげた方がいいでしょう。人間と違って『痛い』と思っても言えません。一見普段とそんなに変わらなくてわからないですよね。なので、病院に来た時にはすでに重症という場合がすごく多いです。やっぱりそれは、定期的に検査をしておけば、早期発見できて治療もしやすいですし、犬の負担も少なくなります。飼い主さんの務めとして、健康診断や検査を受けてほしいですね」

 

山田先生いわく、7歳を過ぎたら理想は3か月に1回。難しければ半年に1回、1年に1回でもいいそうですが、犬猫は人より病気の進行が早い場合があるそう。

 

「検診してもらっても検査の後に癌になり、次の年の検査では末期だったなんて可能性もあるわけです。進行が早い犬は半年くらいで亡くなってしまうので、早期発見はとても重要ですね。症状がでてから来てしまうと、ほとんど末期になってしまっているので厳しいですね」

 

具体的には何をしてもらったらいいのでしょうか。

 

「最低でも血液検査と超音波、レントゲンをしてもらってください。お腹の方は超音波でだいたいわかりますし、胸はレントゲンで見てもらえば、何かあれば見つかりやすいと思います。CTもありますが、全身麻酔を使用するので犬にとって負担が高いので、超音波とレントゲンを中年以降はしっかり受けましょう」

 

犬猫の1年はだいたい人間の4~5年(参照:「獣医師広報板(www.vets.ne.jp)」)になると言われています。人が4~5年に1回健診を受けるとしたら、その間に病気にかかってしまう可能性が高いですし、だいぶ体も変わっていますよね。さらに、最近多い病気の傾向も伺いました。

 

「人間がかかる病気の80%くらいは犬もかかりますね。人間と遺伝子が似ているので人間の病気は犬もかかることが多いです。猫はちょっと違って、人間の病気とリンクすることは犬ほど多くはないです。最近目立つのは、花粉症などアレルギー。犬は敏感なので、人より少し前に花粉症になるので、犬が花粉症でくしゃみをしているのを見て、飼い主さんが『私もそろそろ薬飲まなきゃ』と思うなんてことも聞きましたよ(笑)」

 

健診などで信頼できる先生を見つけておいて、いざという時にペットの通常値や性格を知っている先生にお任せできれば、飼い主さんも安心です。

 

定期的な予防や対策をして、いつまでも元気なペットと過ごしてくださいね。

 

この記事の引用元

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EPARK ペットライフ

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https://petlife.asia/

「EPARKペットライフ」は、動物病院・ペットサロンの検索・予約サイトです。その他、ドクターのインタビューやペットの病気、症状を詳しく解説しています。全国約20,000件の動物施設から、お近くの店舗をお探しください。

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